東京五輪の事前合宿を巡り、益田市が1日、7月下旬に予定したアイルランド自転車競技の来訪中止を発表した。市内で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生するなどしたため。山陰両県では合宿誘致に向けた活動を含め、各地で中止が相次いでいる。 (石倉俊直、藤井俊行)

 益田市では、5月に入り新型コロナの感染者が急増した。中旬には市内を通過する聖火リレーの中止を島根県に申し入れた。

 1日会見した山本浩章市長は、合宿時期と重なる7月下旬に、高齢者へのワクチン接種がピークを迎えるため、チームへの医療ケアが十分にできない可能性があることなどを理由に挙げた。「合宿中止は断腸の思いだ。これまでつないだ縁を大切にして交流を続けたい」と話した。

 市は同国側に五輪、パラリンピック両方の受け入れ中止を伝えたが、アイルランド側がパラリンピックでメダルの獲得が期待できることや、医療スタッフを帯同させるなどとして再考を要望。市は8月のパラリンピック合宿については、今後2週間の感染状況をみながら最終判断する。

 市は2018年11月にアイルランドの自転車競技連盟と、東京五輪やパラリンピックの事前合宿受け入れについて基本合意。計27人程度が来訪予定だった。

 山陰両県では、インドのホッケー代表を受け入れる方針だった島根県奥出雲町が3月に誘致を断念。ヨット・セーリング合同チームの合宿が決まっていた境港市では、チーム側の意向で5月に中止となった。

 7月中旬に鳥取、米子両市で予定するジャマイカの陸上、体操、水泳と、倉吉市入りするフランスのスポーツクライミングは、現時点で各自治体は受け入れる方針。鳥取県スポーツ課の明場達朗課長は「十分な感染症予防対策を講じて自治体や保健所と連携し、万全な受け入れができるよう準備を進めたい」と話した。