黒々としたいかつい和牛がひしめく牛舎。超音波を出すスキャナーのプローブ(探触子)で体をなぞり、肉付きの具合を示す白黒の画面を指さしながら、牧場主に語りかける。「いい霜降りが入ってますよ」

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 JAしまね(松江市殿町)肉牛販売課の職員として、島根県内の牧場を飛び回る。超音波スキャナーを駆使し、出荷前の生きた牛の霜降り度合いや肉の厚みを推定。好まれる肉質ごとに出荷先を変えて有利販売するほか、品評会で好成績が狙える牛を突き止める。

 2022年10月に鹿児島県であった和牛の五輪「全国和牛能力共進会(全共)」では自らが選んだ牛が、会場で食肉処理した牛の肉質を競う部門で全国1位を射止め、培った洞察力の真価を発揮した。

 野菜や果実担当を経て、15年に畜産指導員に就いた。女性指導員がまだ珍しかった当時、...