「誓いの鐘」を打つ中国電力島根原子力本部の北野立夫本部長=松江市鹿島町佐陀本郷、島根原子力館
「誓いの鐘」を打つ中国電力島根原子力本部の北野立夫本部長=松江市鹿島町佐陀本郷、島根原子力館

 中国電力が3日、島根原発(松江市鹿島町片句)で発覚した多数の点検不備問題をきっかけに制定した「原子力安全文化の日」の行事を開いた。オンラインで参加した清水希茂社長は訓話で「原子力の早期稼働が必要だ。さらなる安全性の向上に向けて知恵を絞ってほしい」と中電や協力会社の社員に求めた。
 島根原発では2010年に1、2号機で計511カ所の点検漏れや機器の未交換が発覚。国に最終報告書を提出した6月3日を原子力安全文化の日と定めて毎年、島根原子力館(同町佐陀本郷)の「誓いの鐘」を鳴らして再発防止を誓っている。
 新型コロナウイルスの感染対策のため中電本社(広島市)から参加した清水社長は「原点にいま一度立ち返って、地域から信頼に足ると認めてもらえるよう取り組んでいく必要がある」と強調。原子力規制委員会による島根2号機の審査が最終盤に入ったことに触れ「厳しい嵐の中での航海が続いているが光明は確実に近づいている。(中電の)メインエンジンである原子力の稼働に向け、従来に増して万全の対応をお願いする」と呼び掛けた。
 今年3月に原発で働く中電と協力会社の社員に求められる心得や行動指針を「ファンダメンタルズ」として設定したことも明らかにし、「世界最高水準の原子力安全を目指す」と話した。
 このほか、原発構内で5月に発生した火災の原因について島根原子力本部の北野立夫本部長は「(究明は)終盤だが現時点で公表はできない」と話した。