投票率の低下や地方議員のなり手不足について、鳥取県が7日、解決策を探る研究会を立ち上げた。今春、知事選、県議選とも初めて投票率50%を割るなど深刻化する「政治離れ」を重くみて、投票行動などの研究者ら6人の委員で組織。2024年度の事業化を目指して具体策をまとめ、同じ課題を抱える全国に発信する。(岸本久瑠人)
今春の知事選、県議選の投票率はそれぞれ48・85%、49・15%で過去最低を更新。80%前後で推移した1980年代と比べ約30ポイントも下がった。県議会ではその後、公選法違反の罪による略式命令、2件の詐欺罪による起訴、鳥取市内だけで65泊分もの宿泊費が政務活動費で支払われた問題と、議員の不祥事が相次ぎ、政治不信が増し政治離れを加速させる状況にある。
なり手不足も顕著で、2020年10月以降の全15町村議選で、4割に当たる6町村議選が無投票だった。
研究会は「政治参画のあり方検討会」とし、慶応大大学院システムデザイン・マネジメント研究科の谷口尚子教授、東北大大学院情報科学研究科の河村和徳准教授、選挙制度実務研究会の小島勇人理事長らで構成。平井伸治知事のほか、県市長会、県町村会の代表も交えて議論する。
7日に県庁で開いた初会合は、委員と平井知事、境港市の伊達憲太郎市長、大山町の竹口大紀町長が出席。谷口教授を座長と決め、投票率の低下、議員のなり手不足を主なテーマとし、投票の参加促進のための環境改善などの具体的な解決策を話し合うことを確認した。11月までに3回、12月以降1回の会合でまとめる。
平井伸治知事は、投票率は年代別でこれまで高かった80代でも低下が顕著とし「踏み込んで対策する必要がある」とあいさつ。実効性のある対策に向けて活発な議論を期待した。