最愛の妻はどこへ-。米子市祇園町2丁目の荒川勉さん(64)が妻・泰子さん(59)の行方を捜している。泰子さんは認知症で8月8日に家を出たきり姿が見えなくなった。それから1カ月以上が過ぎ、勉さんは不安を募らせながら「生きていてほしい」と願う。
8日早朝に勉さんが目覚めた時、泰子さんの姿はなく靴もなかった。特売日のスーパーに行ったと考え、向かったが見つからず、突然出かけてもいつもは戻ってくるはずの昼を過ぎても帰らなかった。
米子署に届け出ると、安来市内の防犯カメラに写っていることが分かったが、足取りはつかめない。勉さんは泰子さんの実家が松江市南田町にあったこともあり、「実家を目指したのではないか」と推察する。
5年ほど前、物の名前や意味が分からなくなる「意味性認知症」と診断され、最近は症状が進んでいたという。勉さんは7月末で仕事を辞めたばかりで、介護に専念しようとしてすぐだった。泰子さんは洗濯物をたたみ、朝食も用意してから出かけたという。
「もう少し早く起きていれば」「すぐ松江方面を捜していれば」。勉さんの後悔は尽きない。今できるのは捜すことだけ。情報を求め米子、安来、松江3市のスーパーやコンビニなどにチラシを配りX(旧ツイッター)でも呼びかける。
命の危険やトラブルに巻き込まれたかもしれないという不安も募る。「これまで過ごしてこられたのは妻のおかげ。これから一緒に思い出をつくろうと考えていたのに」と涙を浮かべる。「もう一度会いたい」
泰子さんが行方不明になった日、ボーダーの上着に黒のズボン、黒の靴を履いていた。時計を身に着け、黒いかばんを持っていた。情報提供は米子署生活安全課、電話0859(33)0110。
2022年の行方不明に関する届け出は、島根県警によると290人で、うち認知症関係は42人。鳥取県警によると306人で、うち認知症関係は60人。
(古瀬弘治)
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