政府が8日に受け付けを始めた新型コロナウイルスワクチンの職場接種で、9日午後5時までに鳥取県内の企業・団体から4件の申請があった。島根県内からの申し込みはまだない。申請した企業・団体も接種の具体的な計画はこれからで、打ち手や会場の確保の難しさから慎重に検討している企業が多いようだ。

 

 鳥取県によると、申請したのは県トラック協会(鳥取市丸山町)、鳥取環境大学(同市若葉台北1丁目)、グッドヒル(同市吉成2丁目)、藤田学院(倉吉市福庭)。

 このうち県トラック協会は、加盟社単独では同一会場で最低千人程度とされる要件を満たせないため、合同で計画する。前田裕明専務理事は「ドライバーやお客さんに安心感を持ってもらえるよう実現に向けて取り組む」と話す。

 加盟約300社のドライバー計約5千人を対象に検討しており、打ち手の確保や接種日程などは今後詰めるという。

 鳥取環境大は学生約1200人と教職員約230人に加え、地域企業に範囲を広げた計2千人を対象とする計画。県と調整し、打ち手は確保できる見通しとなったが、国からのワクチン供給の時期や量が不明のため、接種のスケジュールは決められない状態だ。

 教育機関では鳥取大(鳥取市湖山町南4丁目)と米子高専(米子市彦名町)も申請を検討中という。

 鳥取大は鳥取キャンパス(鳥取市湖山町南4丁目)と米子キャンパス(米子市西町)の2会場を予定。鳥取約6千人と米子約1300人の学生と教職員を対象に準備ができ次第、申請する。

 米子高専は米モデルナ製の接種対象となる18歳以上の3~5年生の学生と教職員計約700人が対象。厚生労働省が基本とした千人に届かないため、県と協議し、周辺の事業所を含めるなどして条件を整える。

 一方、島根県には申請に関する企業からの問い合わせは複数寄せられている。

 検討中とする出雲村田製作所(出雲市斐川町上直江)の総務担当者は、運営スタッフと接種会場の確保が課題と説明する。同社は専属と嘱託の産業医が計4人いるものの、職場接種となれば従業員の疾患対応など日常の業務に支障が出る恐れがあるという。

 協力会社を含め約7千人を抱える同社は厚労省のガイドラインを基に、週5日で1人2回の接種が完了するには1カ月半以上かかると試算。「その間、人手を捻出するのは難しさがある」としている。

 (久保田康之、木幡晋介、藤井俊行)