グテレス国連事務総長
グテレス国連事務総長

 日本有数だと勝手に思っている。普段通勤で利用している出雲市から松江市へ向かう国道のこと▼神立橋を渡り斐伊川の流れに心を洗えば、「斐川三山」の仏経山(神名火山)、高瀬山、大黒山を仰ぐ交差点。すぐに宍道湖が見える。羽を広げた水鳥が同じ向きで並ぶ姿は朝礼をしているよう。宍道湖大橋を経て松江城が見えればゴールだ▼ただ、往復約65キロの走行でどれだけタイヤがすり減っているだろう。摩耗によって道路に残るタイヤくずは、プラスチックの仲間である合成ゴムの微細片。風雨で運ばれて流出し、海洋プラスチック汚染の一因になるという。脱プラ対策は新法の施行などで進むが、プラごみのうち熱を利用して発電する「サーマルリサイクル」を含めて7割が燃やされ、二酸化炭素の発生につながっている▼こうした日本の姿勢に世界の目は厳しい。9月にグテレス国連事務総長が主催した、地球温暖化対策を話し合う「気候野心サミット」に岸田文雄首相の姿はなかった。気候変動対策の本気度が見えないと判断され、発言を見送られたためらしい▼2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」も、日本はリサイクルや生態系保全など環境に関する目標達成への取り組みが大きく遅れていると評価された。これらの報道に高校生の姪(めい)はあきれていた。「ごめん」と謝るのはまだ早すぎる。本気で大人があがきたい。(衣)