甲子園球場で行われたパブリックビューイングで、38年ぶりの日本一を喜ぶ阪神ファン=5日夜
甲子園球場で行われたパブリックビューイングで、38年ぶりの日本一を喜ぶ阪神ファン=5日夜

 38年前はやはり昔だ。2度目の日本一に輝いたプロ野球・阪神が前回優勝した1985年を振り返って感じた。

 まず平日もデーゲームだった日本シリーズがその10年後、全試合ナイターになった。最初は風情がないと思った。野球中継の大半が巨人戦のナイターだった時代、秋晴れの下で戦う日本シリーズはいかにも晴れ舞台という特別感があった。

 いつでも使えるインターネットの普及でさほど意味がなくなったが、85年はテレビはまだ24時間放送ではなく、87年のNHK衛星放送を皮切りに始まった。24時間営業のコンビニもまだ身近ではなかった。大きかった昼夜の違いが薄れ、歓楽街に限らず夜の誘惑が増えた。

 「夜型社会化」が急激に広がったのも80年代といわれる。便利さの裏に危険が潜む。夜型の大人に影響される子ども。睡眠不足や夜更かし軽視は不登校と密接に関わるとされる。大人にも悪い。2023年版「過労死等防止対策白書」によると、労働者約1万人が対象の実態調査で45・5%が睡眠6時間未満だった。たまった疲労が精神をむしばむ恐れがある。

 昭和のプロ野球選手は、今ほど夜型社会でなくとも試合後に飲み明かし、翌日の試合前に走って酒を抜いた、という逸話をよく聞く。これは豪快というよりは、結果を日々求められるストレスも大きく作用したのではなかろうか。そんな夜は特例にして、穏やかな眠りに落ちよう。(板)