大麻類似の成分を含むとみられるグミの販売店への立ち入り検査を終え、引き揚げる厚生労働省麻薬取締部の担当者ら=17日午後、大阪市
大麻類似の成分を含むとみられるグミの販売店への立ち入り検査を終え、引き揚げる厚生労働省麻薬取締部の担当者ら=17日午後、大阪市

 へそくりを漢字で書くと「綜(へ)麻(そ)繰り」となる。綜麻はぐるぐる巻きにした麻糸を指し、農村などで暮らす平民が家計を助けるため、綜麻を操る内職で蓄えた「綜麻繰り金」に由来する。それが略され、へそくりになったという▼つつましやかに麻を紡ぐ作業に比べ、こちらは随分とグレーなやり口でへそくりを蓄えたのではないかと勘繰りたくなる。大麻のような成分が含まれた「大麻グミ」の製造会社である。グミを食べて体調不良を訴える人が各地で相次ぐ中、社長は「注意喚起はしており、違法な成分ではない」とし、購入者の食べ過ぎが原因とも強弁した。販売されている菓子を少し多めに食べたくらいで救急搬送が相次ぐ例は初めて耳にするが、どうも販売者としてのモラルを持ち合わせていないらしい▼事態を重く見た厚生労働省の対応は早かった。大麻成分に似た合成化合物を指定薬物に追加し、類似の化合物をまとめて禁止する方針を検討するとした▼一気に網をかける対策で今回の一件は終息に向かうと信じたいが、規制を強化しても、法の隙間をかいくぐる脱法ビジネスは数年ごとに社会問題化している▼敵もさるもので、リラックス効果やストレス解消など言葉巧みに誘ってくる。国内で流通する前に規制するのが有効だが、そう簡単ではない。快刀乱麻ならぬ快刀「大麻」を断てない以上は、危うきに近寄らずを心がけるしかない。(玉)