自民党安倍派(清和政策研究会)の事務所に向かう東京地検特捜部の係官=19日午前、東京都千代田区
自民党安倍派(清和政策研究会)の事務所に向かう東京地検特捜部の係官=19日午前、東京都千代田区

 「数は力」と言われれば、納得してしまうのだろう。多数派工作がものをいう政治の世界。そこに絡むカネの問題。自民党安倍派の政治資金パーティー裏金事件は、数を頼みにする派閥の負の面を改めて浮き上がらせた▼この一年、鳥取県議会では議員3人の不祥事が相次ぎ発覚した。逮捕者も出るなど、いずれもモラルの問題を超え、法に背くか、それが疑われる行為。政治不信は膨らむ一方だった▼平成の大合併後、地方議会が自ら定数を削ってきたのは、自治体の財政難や人口減少に加え、政治に注ぐ有権者の厳しい目があったから。山陰両県の市町村議会の議員総数は現在580人で、合併前の1475人(2004年7月)の4割弱。今も改選のたびに定数や報酬の議論が続く▼鳥取県北栄町議会は今月開いた特別委員会で現在「15」の定数について審議。法定数「22」から減らしてきたものの、多くの議員が、住民から「まだ多い」と言われた経験と、「議会活動が見えていない」という落胆を口にした。なり手不足解消のため待遇改善も課題だが、ある議員は「定数を減らして報酬を上げたらバッシングを受ける」と言い切った▼定数を巡る議論に絶対的な正解はない。議員が自らの活動に胸を張れるのなら、増やしてもいいと思う。住民から正当に評価される仕組みづくりが必要だ。地域の活性化に結び付くなら「数は力」と声を大にしたい。(吉)