サッカー男子日本代表が3大会ぶり5度目の優勝を目指すアジア・カップが開幕した。舞台はドイツ、スペインを撃破した2年前のワールドカップ(W杯)と同じ中東カタールだ。
初優勝は1992年。同年、東アジアの覇権を争うダイナスティカップで戦後初の国際タイトルを手にしたのに続く栄冠で、93年にJリーグが開幕した。94年のW杯初出場もその勢いで手が届いたと思ったアジア予選の最後に待っていたのが「ドーハの悲劇」だった。
「歴代最強」ともいわれる今回の代表が因縁の地で見せてくれるだろう進撃は、30年の成長の証し。米子北高出身の佐野海舟選手が名を連ねるのも楽しみだ。
高校時代、冬の全国選手権に1年時から出場。背番号10を背負い鳥取県勢として25大会ぶりの8強入りに貢献した2年時がやはり印象深い。伝統の「堅守速攻」を、持ち味のボール奪取力と前線への正確なパスで支え、抜群の存在感を示した。J2町田、J1鹿島とステップを踏み、成長を続ける23歳。決勝まで1カ月以上の長丁場となる今大会で、どんな足跡を刻むだろう。
元日の能登半島地震で揺れる日本列島。安否不明者の捜索、犠牲者の鎮魂、避難者の支援。被災地の復興に向け、今何ができるか考える日々。一つで全てを解決する万能薬などないが、悲しみを越え、前を向く過程で勇気や希望につながる、そんな「スポーツの力」も見せてほしい。(吉)