ロシア軍のミサイル攻撃で破壊されたアパート。ロシアによるウクライナ侵攻開始から24日で2年を迎えた=11日、ウクライナ東部ハリコフ(共同)
ロシア軍のミサイル攻撃で破壊されたアパート。ロシアによるウクライナ侵攻開始から24日で2年を迎えた=11日、ウクライナ東部ハリコフ(共同)

 きょう食べる一膳のご飯の炊き方、よそい方、食べ方に心を向けてみる。買い物に行って旬の野菜を見つける、鉄のフライパンのこびりつきを落としてきれいにする。こうしたことに時間をかけることが、いつからないがしろにされてきたのか。こうしたことに時間と労力をかけるのが、生きる喜びや希望なのに。分かること、見えることがたくさんあるのに。だから、暮らしの根幹は「食べること」だと、料理研究家の有元葉子さんは近著のレシピ集『有元葉子 春夏秋冬うちの味』に記す▼「みんなが自分の暮らしをきちんとしていれば、ごみも減るし、自国の農業の大切さも痛感するし、昔ながらのよいものは残したいと思う。暮らしが一番大事という気持ちでみんながいれば、暮らしを破壊する争いをなくすことができる」とも▼およそ戦争回避の理念は単純で分かりやすいのに、争いがなくなることはない。ロシアのウクライナ侵攻から2年。犠牲は増え続けるが、それぞれの大義を前に終わりは見えない▼英国のシンクタンク国際戦略研究所によると、ロシアの脅威に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)が防衛費を拡大し、2023年の世界の防衛費は約2兆2千億ドル(約328兆円)と過去最高を記録した▼戦争でもうかっている誰かもいよう。その人は停戦を願っているのか。暮らしを守る視点に立てば、世界にはびこる異常が見える。(衣)