97年に発表したカバー曲「ハッシュ」
97年に発表したカバー曲「ハッシュ」
デビューアルバム「K」
デビューアルバム「K」
97年に発表したカバー曲「ハッシュ」
デビューアルバム「K」

 バンド名「クーラ・シェイカー」の由来は9世紀のインド皇帝の名前。それだけでもただ者ではない感じがする。1990年代中期のブリット・ポップ全盛期にデビューしながら、インド音楽を織り交ぜた60年代風サイケデリック・ロックを鳴らし、ヒンディー語のマントラ(祈りの言葉)で構成した曲まである。「インド・ガチ勢」だった。

 デビューアルバム「K」(1996年)に懐古趣味との評価が当時あったのは事実だが、60年代を経験していない自分にとってはどうでもよく、ただただ格好良いバンドだった。

 「ヘイ・デュード」「グレイトフル・ホウェン・ユー・アー・デッド」など、ギターとオルガンのグルーヴィーな響きに目まいを覚えた。サイケ・ポップの名曲「ハッシュ」のカバーを97年に発表。有名なディープ・パープルのバージョンとは別物で、疾走感を重視し「風よりも速い音」と紹介する音楽誌もあった。

 フロントマンのクリスピアン・ミルズは王子のようなルックスで、プロディジーの世界的ヒット作「ザ・ファット・オブ・ザ・ランド」のゲストボーカルに招かれるなど、時代の寵児(ちょうじ)だった。バンドは99年にセカンドアルバムを発表後、魔法が解けたようにいったん解散。それでも残した楽曲の多くは、今なお強いインパクトを放つ。(銭)