
―1月に能登半島地震が発生しました。
もし島根県で起こったら、と考えざるを得ませんでした。松江市は住宅が密集する地域があり、火災の被害が気がかりです。
道路が寸断されれば孤立化も心配です。建設業の使命として、災害があれば素早く出動し、道路や水道などインフラの復旧に努めなければなりません。
その際に社として何ができるだろうかと、改めて考えています。

―現地に支援に行かれましたね。
協力業者のメンバーと計4人で、2月に石川県輪島市などに入り、復旧作業に当たりました。現地では、水やトイレ、寝る場所が不足していることがよくわかりました。
報告を受け、災害に強い街づくりのために何が必要なのかを探っています。例えば揺れに強い水道管を普及させるなど、対策には時間がかかり、多くの方の力が必要です。
それでもきっちり備えた上で、もしもの時は状況に応じて動くことが大切です。
―働き手不足が続いています。
社会での役割を果たすためにも、会社の魅力を増し、建設業を志す人を増やさなければなりません。
そのため、福利厚生に力を入れています。条件緩和による育児・介護に伴う休業・休暇の取得のしやすさや、出産祝い金を10倍に増額し、余暇の活動には毎月支援金を出すなど幅広く制度を整えています。
昨年から週休2日制を導入し、働き方改革も重視しています。建設業の2024年問題により、以前なら集中して一気に作業を進めた場面でも、今後は難しくなります。現場は天候にも左右されるため厳しい状況ですが、知恵を絞り効率化を図ることで解決を目指します。

―5月で創立80周年ですね。
先輩方が社を引っ張り、取引先や地域の皆さんにご愛顧いただいたおかげです。感謝の気持ちを込めて、6月に感謝祭を開き、社員旅行も計画しています。
幸いここ3年は、売り上げ100億円の目標を達成できています。
これからも積み上げたものを崩さず、さらに大きくしていくことが務めだと思っています。

建設業の魅力は、中に入ってこそよくわかります。
一つずつ積み上げていけば、求められたものができます。完成すれば苦労は吹き飛び、充実感が得られます。地域の守り手であり、必要不可欠な仕事です。
物を作る幸せを感じながら、夢や希望を持って学び続けてください。あれもこれもやりたい、となったら、もうリーダーです。

平塚智朗=松江市鹿島町出身(65歳)。2020年12月に現職に就任。
出張先で時間ができると、夜に街を歩きます。東京・隅田川の川べりではスカイツリーの上の満月が美しく「東京もいいな」と感じました。