
ー 松江の夏の風物詩・松江水郷祭の規模拡大に力を入れています。
2023年の松江水郷祭は65万人が訪れ、経済効果は推計24.6億円と算出されました。前年比で10倍増やした有料観覧席は7割売れ、まずまずだったと感じています。ビニールシートなどのごみも減ったため、環境面でも成果がありました。
24年の打ち上げ数は23年より千発多い計2万1千発で、引き続き有料席を設置し、全席の指定席化や安価な席の導入を検討しています。経済波及効果をより高めるためにも、絶大な集客力を持つ水郷祭の規模拡大は必要と考えます。
今年は台湾や米国からのお客さまを招き入れる準備もしており、インバウンド(訪日客)を含めた入り込み客数の増加で、将来的には経済効果が50億円規模の花火大会に育てていきたいです。
ー 中小企業を取り巻く経営環境をどう捉えておられますか。
インボイス(適格請求書)制度や電子帳簿保存法の導入、実質無利子無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済で、経営者の多くが苦戦を強いられている状況です。
近年はビジネスモデルの変革スピードが早く、事業継続には経営者の意識改革が必要不可欠です。事業承継の手法としてM&A(合併・買収)も推奨する方針です。ハードルが高いと感じる経営者は多いかもしれませんが、部門単位や店舗単位など部分的に切り離したM&Aも可能です。
企業のニーズを捉え、より適切な情報提供ができるよう、地元の経済団体として働きかけていきます。

ー インフラ整備や観光活性化に向けた考えをお聞かせください。
中海・宍道湖圏域の発展に向けて、中海と宍道湖の沿岸を「8の字」につなぐ高規格道路の建設に向けて積極的に取り組んでいきます。
観光面では、美しい景観や資源にあふれる美保関や鹿島地区に宿泊施設を誘致できれば、観光客増加だけでなく定住促進にもつながると考えています。森林などの自然環境整備も並行して取り組みながら、圏域の魅力向上と交流の活性化に向け取り組んでいきます。

島根が元気であるためには、地元企業が元気であることが不可欠です。可能性に満ち溢れた若い皆さんにはどんどん挑戦してもらい、一緒になって活気あふれる島根を築き上げていきましょう。
田部長右衛門=雲南市吉田町出身。
2019年に島根県商工会議所連合会会頭(松江商工会議所会頭)に就任。