午前11時21分、あめつちが青い車体を現し、折り返し駅となる島根県奥出雲町横田の出雲横田駅に到着すると、乗客を歓迎するため、旗や横断幕を手にした町民や関係者から歓声が沸き起こった。駅前での歓迎イベントには、約500人が来場。音楽ステージに加え、特産品販売で沿線の食や文化をPRした。
あめつちは59人を乗せて満席。夫婦で乗車した伊佐地定充さん(65)=名古屋市中村区=は歓迎された後、車窓から眺める沿線風景を振り返った。見頃を迎えた桜やのどかな田園を満喫し「昔ながらの日本を感じられて良かった。次回は沿線の観光地ものんびり巡りたい」と話した。
あめつちは木次線では宍道、木次、出雲三成、出雲横田の4駅以外は通過するが、米子駅から乗車した米子市和田町のパート職員、下田佳代子さん(61)は通過駅でも住民から手を振ってもらい「温かいおもてなしを感じた」と喜んだ。
駅前のロータリーにはそばや奥出雲和牛の弁当、酒販売などの出店が立ち並び、地元の横田高校の生徒がイベントの司会進行を担当。同校吹奏楽部が「銀河鉄道999」「また君に恋してる」などの曲を演奏し、奥出雲町が拠点の太鼓チーム「仁多乃炎太鼓」も迫力ある音色を響かせた。
イベントはあめつちの乗り入れを記念し、沿線自治体などでつくる木次線利活用推進協議会が開いた。
(山本泰平)