立憲民主党島根県連・川井弘光幹事長
立憲民主党島根県連・川井弘光幹事長

 衆院島根1区補選が16日に告示される。全国3補選のうち、唯一の事実上の与野党一騎打ちとなる見込みで、勝敗は岸田政権の行方を左右する。「政治とカネ」の問題で、国民の政治不信が高まる中、地元の各党責任者に党が抱える課題への認識や対応、補選での戦い方を聞く。
 (聞き手は政経部・高見維吹)

 ―自民党に政権を再度奪われた2012年以降、旧民主党勢力は離合集散を繰り返し、受け皿になれていない。

 「残念ながら、現在は政権交代ができるほどの準備が整っている状況にない。全国の選挙区で候補者の擁立ができておらず、野党間の調整も進んでいない。立憲民主党の公認候補を擁立する衆院島根1区補選は政権交代の流れをつかむきっかけにする象徴的な選挙にする」

 本気で政権交代を目指しているのか。

 「地方議員の数も地域支部の数も、組織力で自民に圧倒的にかなわないのは事実だ。この差はあまりにも大きい。ただ、政権を取れば党本部の支援も、入る情報量も違ってくると民主党時代に経験した。地域に根を張った組織がなくても各地の支援者や応援団がおり、やりようはある。党本部は「次の内閣」(ネクストキャビネット)を組織し、政権交代の準備を進めている」

 ―3月の共同通信社の世論調査で立民の支持率は10・1%にとどまる。

 「地元組織である県連としてのアピール不足もあるが、いくら理念を訴えて理屈を並べても党の評価が急上昇する決定打にはつながらないだろう。国政で野党の究極の仕事は与党の監視であり、できることは限られる。『チャンスを与えてもいい』『やってみろ』と思ってもらえる人を増やすために信用を積み重ねなければいけない。政治を変える力は有権者にある。汗をかいて関係性を築く活動を地道に続ける」

 ―衆院補選は勝敗の鍵を握る投票率が総選挙に比べて下がる傾向にあるが、どう戦うか。

 「注目度が高い選挙区とはいえ、選挙があることすら分かっていない有権者も多く、投票率は下がるだろう。最大の支援組織である連合や党公認候補の後援会、友党である国民民主党、社民党の支援を受けながら、投票に行くことを呼びかけ、浮動票の取り込みにつなげたい。共産党が自主支援に回り、実質的に与野党一騎打ちの構図になったことも感謝している。1票差でも競り勝つ」