衆院島根1区補選が16日に告示される。全国3補選のうち、唯一の事実上の与野党一騎打ちとなる見込みで、勝敗は岸田政権の行方を左右する。「政治とカネ」の問題で、国民の政治不信が高まる中、地元の各党責任者に党が抱える課題への認識や対応、補選での戦い方を聞く。
(聞き手は政経部・原暁)
―党勢の退潮傾向が止まっていない。
「党員は1960~70年代に入党した人が大半を占め、新しく入る人も少ない。直接ビラを配って入党の働きかけをするなど以前のような活動が思い通りにできていない。機関紙の読者も増えている状況だとは言い切れない。衆院島根1区補選を含め、あらゆる機会を通じて党勢拡大に向けて発信する」
―島根1区補選で公認候補を取り下げ、立憲民主党元職を自主支援することを決めたのはなぜか。
「実質的に与野党一騎打ちの対決構図に持ち込むためだ。野党が勝利すれば政界に与える影響が非常に大きい。立民から支援の要請があれば応えたいと考えており、共産内でも支持を広げ、できる範囲で協力していく。野党共闘を実現するための役割を担いたい」
―野党共闘は「野合」との指摘がある。
「非自民の対立軸を持つ野党で協力しており、『野合』との指摘は当たらない。2023年12月には安全保障関連法の廃止を訴える若者や学者らでつくる『市民連合』と野党4党(立民、共産、れいわ、社民)間で五つの政策合意を結んだ」
―党首公選制導入を主張した党員2人を除名した問題が尾を引いている。
「党内で議論することなく党外から書籍を出版して批判したため、規約違反として処分を行った。異論は許さないと宣伝され、被害を受けている。今回に限らず、マイナスなイメージを持たれることは起こりうる。今後出てくるさまざまな攻撃材料を乗り越えて活動していく以外にはない」
―立て直しへの「切り札」として女性初の委員長に田村智子氏が就任したが、手腕は未知数だ。
「田村氏は国会で鋭い批判を繰り返すなどして頑張ってきた。一方、諸外国との外交政策など初めての経験も多い。今回の体制は経験豊富な志位和夫前委員長から引き継ぐための対応で、党の運営を継続、発展するための必要な措置だ。議長に就いた志位氏と田村氏が中心となり、困難を打開していく」