吉野和彦代表
吉野和彦代表

 衆院島根1区補選が16日に告示される。全国3補選のうち、唯一の事実上の与野党一騎打ちとなる見込みで、勝敗は岸田政権の行方を左右する。「政治とカネ」の問題で、国民の政治不信が高まる中、地元の各党責任者に党が抱える課題への認識や対応、補選での戦い方を聞く。
(聞き手は政経部・佐々木一全) 

―自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、公明党の山口那津男代表が「2012年の政権奪還後、最大の試練に直面している」と言及した。

 「日本の政治風土そのものの課題が表に出たと認識している。発生しない仕組みの構築や罰則強化に取り組むしかないだろう。自民党執行部が4日に提示した処分案では39人が対象となったが、不十分だと受け止める国民は多い」

 -与党の中で「歯止め役」を果たせているのか。

 「果たしきれなかった。長年、連立を組む中で緊張関係に緩みが生じ、お互いの思いが通じ合わなくなると裏金事件などにつながる。歯止め役として引き続き説明責任と再発防止に向けた取り組みを厳しく求めていく」

 -集団的自衛権の行使容認や次期戦闘機の輸出解禁などの政策を認め、「平和の党」「大衆福祉」の看板が揺れている。

 「自民の政策に同意したことで不安の声があるのは承知しており、支持者らに説明を尽くす必要がある。情勢を踏まえた政策判断をしており、必要な政策と見ている。党としての立場はブレておらず、今後も国民の安心、安全を第一に考えて活動していく」

 ―党勢の維持、拡大をどう図るのか。

 「平和や福祉を重視する姿勢を広く知ってもらうことが重要だ。次期衆院選では選挙区の『10増10減』の影響で、比例中国ブロックの定数が1減の10人となる。21年の衆院選では11番目が公明党の候補者で、並大抵の努力では議席確保はできない」

 ―衆院島根1区補選で自民の立候補予定者をどう支えるか。

 「与党にとって例がないほど厳しい選挙戦になっている。可能ならば『政治とカネ』の問題などの考えを党員や支持者の前で表明する機会を設けたい。党として推薦に至っておらず、党本部は裏金事件の自民の対応を注視しているのではないか。告示が迫る中で気をもんでいる。どのようなタイミングになろうとも支えるが、党員や支持者への浸透を考えると残された時間は少ない」