細田重雄会長
細田重雄会長

 衆院島根1区補選が16日に告示される。全国3補選のうち、唯一の事実上の与野党一騎打ちとなる見込みで、勝敗は岸田政権の行方を左右する。「政治とカネ」の問題で、国民の政治不信が高まる中、地元の各党責任者に党が抱える課題への認識や対応、補選での戦い方を聞く。
(聞き手は政経部・曽田元気)
 

 -派閥の政治資金パーティー裏金事件で自民党への批判が強まっている。岸田文雄首相は今国会での政治資金規正法改正を明言するが、肝心の中身が見えない。

 「大変厳しい状況で、本当に危機感がある。解党的な気持ちで改革案を示す必要がある。衆参両院で政治改革を議論する特別委員会ができる。各党が熱い議論を展開すべきだ」


 -補選の党公認の立候補予定者が「政治とカネ」の問題で党を批判するのは異例の状況だ。

 「異例ではなく、率直な思いだと受け止める。政治家になる前の段階で言うのはどうかなどの意見はあるが、候補者第一だ。候補者がそう思うのであれば、訴えるのは大事なことだ」


 -岸田首相の下で党を再生できるのか。

 「外交や経済政策で率直によく頑張っていると思う。9月の総裁選では、政治改革などさまざまな問題を争点にし、今後のあるべき姿を党内で議論できるものにしてほしい」


 -国政選挙で勝利を重ねてきたが、積極的に支持されたのではなく、「野党多弱」が要因ではないか。

 「自民もだが、立憲民主党の支持率も下がっている。自民は国民政党として、全国いたるところに組織があり、日頃から党員や議員が国民と接触しているところに強みがある。それは立憲民主党にない。政党としての勢力が違う」


 -島根県選出の大物議員が次々と鬼籍に入り、転換点を迎えている。

 「県連所属の5人の国会議員は若い人が多く、チームワークは細田博之(前衆院議長)、竹下亘(元復興相)の時代と変わらぬ強力さだ。2人に経験は及ばないが、背中を見てきたので十分補えると思っている」


 -補選で劣勢が伝えられている。

 「(浮動票より)組織を固めるのが第一だ。(連立政権を組む)公明党の県本部との信頼関係は深く、推薦が出ればすぐ行動してもらえると思う。連合の切り崩しは組合に積極的に支援のお願いに出向いている。岸田政権の命運が懸かっており、自民の将来を占う選挙になる」