石橋通宏氏
石橋通宏氏

 島根1区を含む衆院3補選(4月16日告示、28日投開票)が迫ってきた。最大の争点に浮上する「政治とカネ」の問題を巡り、どう対応すべきなのか。有識者や国会議員に聞いた。
 

 ―国会で自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を追求している。

 「実態解明が遅々として進んでいない。岸田(文雄)首相は国民に説明責任を果たすと言いながら、言行不一致だ。政治資金規正法の抜け穴が自民によって悪用、乱用されてきた実態を解明しないと、どう法制度を改革するか見えない。(事件発覚から)4カ月以上たっても改革に向けた議論のベースすら確保されていない。岸田首相と自民党の責任は重い」

 ―岸田首相は今国会での政治資金規正法改正に意欲を示している。

 「具体的な中身がよく分からない。自民が中間取りまとめで示した改革案は極めて不十分だ。裏金事件の実態解明も進まず、日程的に抜本的な改正は極めて困難だ。野党は(議員本人も連帯責任を負う)『連座制』を含めて実効性ある具体的な中身を提案している。野党案を土台にするのであれば今国会で一定の合意ができるかもしれない」

 ―連座制の導入は、低額の不記載でも告発するかどうかなど適用する基準が難しいとの指摘がある。

 「課題は議論し、クリアにすれば良い。『やれ会計責任者が』『やれ秘書が』と押しつけるのではなく、議員本人の責任は問わないといけない。そうでなければ不正はなくならない」

 ―立憲民主党も使途公開が不要な政策活動費で、党から幹部への支出がある。

 「そもそも額は(自民と)全然違う。党として廃止を訴えており、かなり踏み込んだ提案をしている。必要な活動費用は適正に処理、対応すれば良い。今回を機に厳格化すれば良い」

 ―立民は政治資金を監督する第三者機関の設置を検討するよう訴えている。

 「2月の自民議員への聞き取り調査も外部の弁護士を入れたと言うが、不十分だ。中立な第三者にチェックしてもらう必要がある。詳細な制度設計は与野党で協議し、早急に結論を得る必要がある」

 ―1994年の政治改革関連4法の成立から30年を迎える中で「政治とカネ」の問題が再び起きた。

 「政治の責任は極めて重い。過去の改革も常に抜け穴がふさがれないまま残され、維持された。民主党が政権を取った時期はたった3年でやろうとした改革もできなかった。失われた30年をつくった大きな責任は自民にある。誰のための、何のための政治なのかをいま一度考えなければならない」

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 いしばし・みちひろ 安来市出身。中央大法学部卒。米アラバマ大大学院修了。民主党(当時)から立候補した2010年参院選比例代表で初当選し、3回連続当選。立憲民主党参院国会対策委員長代理、党政治改革推進本部副本部長、党島根県連代表代行を務める。58歳。