九州電力玄海原発(奥)が立地する佐賀県玄海町=4月
九州電力玄海原発(奥)が立地する佐賀県玄海町=4月

 大型連休の後半に入る5月3日は、さまざまなことを考えさせられる日でもある。真っ先に思い浮かぶのが憲法記念日。1947年の日本国憲法施行を記念した日だが、改正論議がくすぶっている。

 参院の合区解消など4項目の改正・追加を提案する自民党総裁の岸田文雄首相は「憲法改正は先送りできない重要な課題」と得意のフレーズを繰り出し、自らの総裁任期である9月までの実現を掲げる。とはいえ、衆院島根1区補選で党公認候補が敗れ、青息吐息の状態だ。

 もう一つ。5月3日は語呂合わせで「ごみの日」。気になるのは原発を運転した際に排出される高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の行方。中国電力島根原発(松江市鹿島町片句)を抱える山陰両県にとっても人ごとではない。

 核のごみの最終処分場選定を巡り、九州電力玄海原発がある佐賀県玄海町議会が、選定に向けた第1段階の文献調査を求める請願を採択した。可否判断は脇山伸太郎町長に委ねられるが、停滞する選定議論に一石を投じた格好。

 ただ、山口祥義県知事は玄海原発があるのを理由に「新たな負担を受け入れる考えはない」としており、たとえ文献調査に入っても、その先は見通せない。袋小路を抜け出すには国の積極的な関与が欠かせないだろう。国民に信を問うことなく原発回帰にかじを切った岸田政権にとっては、それこそ「先送りできない重要な課題」のはずだ。(健)