魚類学者、タレントとして知られるさかなクン(東京海洋大名誉博士・客員教授)が14日、松江市学園南1丁目のくにびきメッセで講演した。宍道湖や中海の魚の生態を「ギョギョッ」という口癖を交えて解説し、約1500人を楽しませた。
さかなクンは魚に関する知識の豊富さや独特のキャラクターで活躍。学術面では環境省が絶滅種に指定していた「クニマス」の約70年ぶりの発見に貢献した。
おなじみのハコフグの帽子と海の生物がイラストされた白衣姿で、「ギョギョッ」と発しながらステージに登場すると満員の会場は大歓声に包まれた。
講演は、さかなクンが宍道湖七珍の絵を描きながら出題するクイズに、参加者が答える形式で進んだ。ニホンウナギについて、生息環境の悪化や乱獲で個体数が激減し絶滅危惧種に指定されていることや、完全養殖を目指す動きが進んでいることを解説した。コイは模様がきれいで世界中で人気だが、雑食で食欲旺盛なため、安易な放流は自然の生態系を壊す恐れがあると指摘。「飼うなら責任を持ってほしい」と訴えた。
2050年までにごみの量が魚の量を上回ると推測されるとし、「食べ物を残さない、ポイ捨てをしないなどできることは多い。みんなで海を守ってほしい」と呼びかけた。
松江市の川津小学校2年の野津直汰朗さん(8)は「知らないことがたくさんあったけど、イラストがあって分かりやすかった」と笑顔だった。
会場には、松江市島根町野波の小波海水浴場で自然体験を提供する「海の楽校」の出張講座など8ブースがあり、ミニ水族館で子どもたちが恐る恐るナマコやサザエの感触を楽しんだ。

さかなクンの講演会は、身近な海の生物を知ってもらおうと山陰中央新報社が開いた。
(佐野翔一)