原発の取材で訪れた島根大付属義務教育学校後期課程の9年生=7月23日、松江市殿町の山陰中央新報社
原発の取材で訪れた島根大付属義務教育学校後期課程の9年生=7月23日、松江市殿町の山陰中央新報社

 新聞記者は取材相手の話を聞いて記事にまとめるのが仕事だが、たまに立場が入れ替わることがある。先日、中学3年生に当たる島根大付属義務教育学校後期課程(松江市菅田町)の9年生6人から「原発について意見を聞きたい」と訪問を受けた▼「取材の狙いは何なの?」「どうして原発をテーマにしたの?」…。自己紹介もそこそこに矢継ぎ早に質問したのはこちらの方。「いや、きょうは質問される側だった」と思い返し、取材を促した▼「原発は必要だと思いますか?」「何のために原発情報を発信しているのですか?」…。言葉は素朴だが、核心を突いている。「安全かつ安価でクリーンな電源の技術が確立するまでのつなぎとして必要」「記事にすることで原発への関心を高め、『住民が監視しているぞ』と事業者にアピールする意味もある」と答えたが、どこまで伝わったか▼実は昨年、同校の1年先輩が同様に授業の一環で、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の地層処分について国や関係者に取材。それを基にした提言が原子力発電環境整備機構のコンテストで最優秀賞を受けた。そのせいか、再び核のごみに焦点を当てるのか、別の題材を探すのか迷っているようにも見えた▼ただ、中国電力が12月を目指す島根原発2号機の再稼働の是非をはじめ、題材は山ほどある。同時にこちらが伝えなければならない題材も山ほどある。(健)