「日南町の自然」をテーマに、子どもたちのアイデアを図案化したガラス壁画を仕上げる朝倉弘平さん=鳥取県日南町霞、町総合文化センター
「日南町の自然」をテーマに、子どもたちのアイデアを図案化したガラス壁画を仕上げる朝倉弘平さん=鳥取県日南町霞、町総合文化センター

 美術館や図書館を備えた鳥取県日南町の文化拠点・町総合文化センターで、高さ2・8メートル、幅31・0メートルに及ぶ回廊ガラスの壁画が完成間近だ。クレパスの生みの親・佐武林蔵(1886~1968年)の故郷らしい新名所が、山あいの町に誕生する▼町美術館が野外イベント広場の芝生化を契機に企画した「みんなの中庭アートプロジェクト」の一環。広場に面するガラスを巨大なキャンバスにした壁画は「日南町の自然」がテーマだ▼美術館の浅田裕子館長が「自然の中に溶け込むような優しい色彩」にほれ込み白羽の矢を立てた鳥取県大山町在住の画家朝倉弘平さん(40)が、地元の園児や小中学生のアイデアに耳を傾けて図案化。山のようにそびえる色鮮やかなクリやトマト、空飛ぶ日野川のアユなどどれも楽しい▼この夏、帰省中の親子連れを含む老若男女が慣れない手つきで筆を握り、アクリル絵の具で色を塗った。色とりどりの柔らかな光に包まれた館内の空気を言葉にすれば、うきうき、わくわく。「幸せがあふれているな~」。取材で一緒になった地元テレビ局のベテランカメラマンの言葉に、思わず顔がほころんだ▼広場にもう一つの目玉、造形作家徳持耕一郎さん(鳥取市在住)の鉄骨彫刻を並べ、30日にいよいよお披露目。ガラス越しに広がる芝生や周囲の山々の景色を取り込んだ壁画は、四季折々、さまざまな表情を見せてくれるだろう。(吉)