島根県は31日、大田市内の養鶏場で鶏7羽が死んでいるのが見つかり、高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の陽性が確認されたと発表した。今季の養鶏場での陽性確認は北海道、千葉県、新潟県に続いて全国4例目。県内最大の養鶏場で、採卵鶏約40万羽の殺処分を同日朝に始めた。

 県によると、養鶏場の管理者から30日昼、鶏舎1棟の一角で固まって7羽が死んでいるとの通報が県川本家畜保健衛生所にあった。県が簡易検査やPCR検査を実施し、陽性が判明。養鶏場付近まで野鳥がウイルスを運んだと推察するが、感染経路は分かっていない。県や関係者によると、養鶏場は野鳥や小動物の侵入を防ぐネットがあり、感染防止対策を徹底していたという。

 県は、養鶏場の半径3キロを鶏や卵の移動制限区域とし、半径10キロを鶏の区域外への搬出を禁止する搬出制限区域に指定した。10キロ圏内に養鶏場はない。県内で100羽以上飼育している農場は32あり、合計135万羽。他の養鶏場には緊急消毒の実施や異常がある鶏を発見した際の早期通報を指示した。

 県職員や自衛隊員が現地入りし、31日午後2時までに2万羽を処分した。殺処分や養鶏場の消毒などを含めた防疫措置の完了は11月7日を見込み、1日延べ600~700人態勢での作業を想定。周辺に関係車両の消毒ポイントを設ける。

 県は31日未明、県庁で緊急の危機管理対策本部会議を開き、対応を確認。昼前に丸山達也知事とオンラインで面会した舞立昇治農林水産大臣政務官は、原因究明する疫学調査チームの派遣▽人や資機材の支給体制の整備▽生産者や消費者、流通業者への正確な情報提供-などを進める考えを伝えた。

 丸山知事は「鶏卵、鶏肉を食べることで人に感染しない。養鶏場は徹底した防疫措置を取り、感染した鶏や卵が市場に出回ることはないので冷静な対応をお願いしたい」と呼び掛けた。

 家畜伝染病予防法に基づき、被害を受けた養鶏場は殺処分された家畜の評価額を踏まえ、手当金が交付される。県内の養鶏場での鳥インフルは2010年に安来市内で確認されて以来。鳥取県内では22年に鳥取市内で発生した。

(曽田元気)