島根県内での結核集団感染の発生を発表する県健康福祉部の谷口栄作医療統括監(左)と県薬事衛生課の宮本毅課長=松江市殿町、県庁
島根県内での結核集団感染の発生を発表する県健康福祉部の谷口栄作医療統括監(左)と県薬事衛生課の宮本毅課長=松江市殿町、県庁

 島根県薬事衛生課が8日、県内の10~60代の男女計36人が結核に集団感染したと発表した。いずれも治療を受けており、感染拡大の可能性は低いとしている。発病した2人は命に別条はなく、順調に治療が進んでいるという。県内での集団感染は2018年4月に出雲市内で7人の感染を確認して以来、6年ぶり。

 同課によると、出雲市在住の40代女性が3月ごろからせきなどの症状が続いたため、同市内の複数の医療機関を受診。発病が分かり、5月9日に医療機関から出雲保健所に届け出があった。

 出雲保健所は発病後の女性と接触した家族や職場、医療機関の職員ら328人のうち307人の血液検査やエックス線検査などを実施。同じ職場に勤務する同市在住の30代女性も発病していたことが判明し、職場や家族で計34人の感染を確認した。いずれもせきなどの症状を訴えていないという。

 同課によると、発病者は他者に感染させる恐れがある一方、感染しただけでは結核菌を排出せず、人にうつす可能性はないとの理由から、感染した34人の居住地は公表する必要がないとしている。

 今後、残る21人の健康診断を実施するほか、感染者の経過観察などに努める。県薬事衛生課の宮本毅課長は「今でも年間1万人以上の患者が発生する日本の主要な感染症で、過去の病気ではない」と強調。たんを絡むせきや微熱、体のだるさが2週間以上続いている場合は、早めに医療機関を受診するよう呼びかけた。

 県内では昨年、48人が結核を発病している。(原暁)