能登半島地震の被災地で、炊き出しで提供するおむすびを作る大学生ボランティア=2024年2月、石川県輪島市
能登半島地震の被災地で、炊き出しで提供するおむすびを作る大学生ボランティア=2024年2月、石川県輪島市

 きのうに続いてお米の話題から。とはいえ「令和の米騒動」や食料自給率といった昨今の世相を反映した話ではない。

 きょう1月17日は「おむすびの日」らしい。察しのいい方なら、お分かりだろう。1995年のこの日に起きた阪神大震災で、ボランティアの炊き出しによって被災者に多くのおむすびが届けられたことから、人と人との心を結ぶ「おむすび」の日として制定された。死者6434人、住宅被害は63万棟にも及んだ大災害から、きょうで30年を迎えた。

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『おむすび』は、幼少期に神戸で震災を経験した平成元年生まれのヒロインが栄養士の道を歩むオリジナル作品。震災直後、避難所で初めて食べた炊き出しのおむすびに「これ冷たい。ねえ(レンジで)チンして」と文句を言ってしまったことを、大人になって後悔するヒロインの姿が描かれた。

 東日本大震災や能登半島地震など、この30年間で甚大な自然災害が各地で相次いでいる。山陰でも2000年に鳥取県西部地震を経験した。そんな時、被災者を元気づけたのが、冷たくても心温まる炊き出しのおむすびだったはずだ。

 「防災立国」を政策に掲げる石破茂首相は、被災者に温かい食事を提供するキッチンカーの迅速な配備を進めるという。確かに食事は温かい方がいいが、人と人との心を結ぶ「おむすび」の精神とありがたみは忘れてはなるまい。(健)