「いやー暖かい。真冬なのに秋のようだ」。4月に開幕する大阪・関西万博の会場視察のため、全国の地方紙の論説委員が大阪市に集った1月下旬。青森からやって来たベテラン記者が大げさに驚いてみせた。
無理もない。青森県では年末年始にかけて記録的な大雪となり、県は12年ぶりに豪雪対策本部を設置。青森市では一時、過去最多となる139センチの積雪を観測し、今も100センチ前後の雪が残っている。当日の最高気温は大阪市の14・6度に対し青森市は5・2度。「山陰(の雪)はどうですか?」との問いかけに、申し訳なくて返答に困った。
豪雪地帯の青森だが、昨冬はあまり降らなかったという。シベリアからの寒気の流れ込みが少なかったのが要因。一転した大雪は、次々に積乱雲ができる線状降水帯ならぬ“線状降雪帯”が発達したためらしい。降雪量の多少はあるにせよ、山陰など日本海側ではどこでも起こり得るだろう。
暦の上は春を迎えたが、“立春寒波”の到来で山陰両県でもあすごろにかけて冬型の気圧配置が強まり、山沿いを中心に大雪が見込まれている。雪雲が予想以上に発達し、同じ所で降り続いた場合は警報級の大雪になる可能性もあるという。油断は禁物だ。
冒頭の記者に話を戻すと、当日は雪で空路を断念し、新幹線を乗り継ぎ7時間余りかけて大阪にたどり着いたという。雪の時季こそ、余裕のある行動を心がけたい。(健)