大学入学共通テストを終えて帰路に就く受験生たち=1月19日午後、松江市西川津町の島根大
大学入学共通テストを終えて帰路に就く受験生たち=1月19日午後、松江市西川津町の島根大

 受験シーズン本番を迎えた。街で中高生を見ると、受験生だった33年前を思い出す。「不安になったら心の中で『それが大事』を歌おう」。友人とそう話して、当時流行(はや)った曲を「お守り」に大学入試センター試験に向かった。

 実際に何回か歌ったが、嫌いな科目の点数は散々だった。やった分だけしか結果は出ない。一つでも点数が取れないと進路の選択肢が少なくなった。おしなべてできる人が受験戦争を勝ち進んだ。

 社会に出るとどうか。昔以上に専門性が求められる現代。新聞社に勤め、多くの人を見てきた。満遍なく点数は取れないけど、一つでも100点以上が取れるものを持っている人の人生は濃く、輝いて見えた。

 教育を考える。小学生の頃からタブレットを持つ。インターネットには答えがあふれ、簡単に調べられる。ただ、世の中は正解のないものばかり。自ら考え、立ち向かう力が必要だ。失敗と成功を重ね、自分なりの答えが見つかる。当方も挫折を経験した。親、家族、会社の先輩、取材で出会った人…。真剣に向き合ってくれる人がいたから乗り越えられた。多感だった子どもの頃、先生の存在は大きかった。

 人と向き合い、相手を思う時に何が大事か。センター試験でもう一つお守りにしていた曲がある。『愛は勝つ』。<どんなに困難で くじけそうでも 信じることさ 必ず最後に愛は勝つ>。真っすぐな歌詞が浮かんだ。(添)