大ヒットしたゲーム『マリオブラザーズ』は、マリオが地下の下水管から出てくる敵をやっつける設定だ。このとき、マリオが営んでいたのは配管工。誰もが知るゲームキャラが職人だったことは意外と知られていない。
埼玉県八潮市の道路陥没事故で、配管工の役割が見直されている。下水道管破損による道路陥没は全国で年間2600件超。原因の多くは老朽化とされるが、費用や人的な問題から対策が追い付かない実態がある。
<技術者・業者をないがしろにしてきた日本・日本人全体の責任でもある>。事故を受け、富山市の配管業者がSNSで投稿した内容が話題を呼んでいる。この業者は「私たちの仕事は、きれいにやればやるほど全部地面の下だ」と配管という「成果」が人目につかないがゆえに、就職先として意識されない現状を嘆く。
一方、米国のZ世代の間では職人の仕事を再評価する「ブルーカラー・クール」という現象が起きている。インフルエンサーが情報発信し、職人を「イケてる(クール)」と捉える新たな価値観が生まれているようだ。日本もこうありたい。コロナ禍でエッセンシャルワーカーに光が当たったように、当たり前を支える人の待遇改善は急務だろう。
マリオの世界はワープしたり、ボーナスステージに行ったりと土管が攻略の鍵を握る。ゲームの世界も実の社会も見えない部分で成り立っていると気付かされる。(玉)