新たな地域振興拠点として、4月25日オープンを控える「道の駅ほうじょう」の駅舎=鳥取県北栄町国坂
新たな地域振興拠点として、4月25日オープンを控える「道の駅ほうじょう」の駅舎=鳥取県北栄町国坂

 コロナ禍の真っただ中で営業職だった広島勤務時代、可能性を感じて足を運んだ先の一つが道の駅だった。不要不急の外出はしないという息が詰まるような暮らしの中、利用が伸びているところがあった。

 じっくり回ると、新鮮な野菜にジビエ、パン、加工品、スイーツなど、つい目移りし、ちょっとした観光気分。遠出がしにくかった当時、地元や近隣の人たちにとって食料品などの買い出しと息抜きを兼ね、日常と非日常を味わえるのがにぎわいの源だった。

 コロナ禍という非常事態でも存在感をしっかり発揮。1993年の制度創設以来の休憩、情報発信、地域連携という目的に加え、今や防災や地方創生の役割を担う超多機能スポットの礎は、地域とのつながりだと肌で感じた。 

今月、オリジナル商品第7弾「大山ジビエカレー」を発売した道の駅大山恵みの里(鳥取県大山町)の山口隆之理事長は「地元素材を活用し販路拡大していくのが役目」と商品開発を重ねる。4月のオープンを控え、先日見学会を開催した「道の駅ほうじょう」(同北栄町)を、町は「年間を通じてフルーツが出せるのはうちだけ」(清水直樹地域整備課長)という「農業のまち」の強みを生かし、地域振興につなげる。

 全国1200カ所を超え、山陰両県には計46カ所。磨きをかけた個性が、地域の色となり、住民の誇りになる。それが、道の駅の地方創生ということだろう。(吉)