松江市美保関町の民家に落下した隕石(いんせき)の展示は見た記憶がある。それとは鉱物の組成が違うらしい。開幕まで1カ月を切った大阪・関西万博の目玉として「火星の石」が一般公開される。
日本の南極観測隊が昭和基地近くで採取した隕石で、火星に水が存在したことを示す粘土鉱物が含まれるという。生命の起源を探る貴重な試料とされ、地球外生命の存在や火星旅行の実現に夢が膨らむ。未来を予測する万博だが、どうやら会期中の来場の動向は見通せていないようだ。
全国で関心度は上がらず、前売り券の販売が伸び悩む。事前の電子チケット購入と来場予約が「複雑で分かりにくい」と不評で、当日券や簡単来場予約を急きょ導入するドタバタぶり。いよいよ開幕が近づき、知りたいのはパビリオンの展示内容なのに、海外館の建設遅れやシンボルとなる「大屋根リング」下の護岸浸食がニュースになってしまう。
そんな盛り上がりの不安をよそに、出演者たちは準備を進めている。伝統芸能の石見神楽を上演する浜田市や益田市のステージがある。先日立ち寄った飲み屋で、後ろのテーブル席がやけににぎやかで話に熱がこもっていると思ったら、万博に出演する社中関係者の演出の打ち合わせだった。
大いに盛り上げて魅力を発信してくれるに違いない。その勇姿を見に行くのもいい。スマホ画面と格闘し、家族分の電子チケットは手に入れている。(史)