選抜高校野球大会1回戦で広島商に敗れ、引き揚げる横浜清陵ナイン。21世紀枠はこれで12連敗となった=21日、甲子園
選抜高校野球大会1回戦で広島商に敗れ、引き揚げる横浜清陵ナイン。21世紀枠はこれで12連敗となった=21日、甲子園

 熱戦が続く選抜高校野球大会はきょうが準々決勝。優勝候補の東洋大姫路(兵庫)が2回戦で敗れる“波乱”もあった。波乱といえば、15年前に取材した選抜大会1回戦で、中国王者として臨んだ開星が21世紀枠の向陽(和歌山)に1-2で敗れた。

 試合後、開星の監督から「末代までの恥」との発言が飛び出したが、相手のエース右腕は鋭く曲がるスライダーが絶品だった。続く2回戦では大会準優勝の日大三(東京)に1-3と接戦を演じた。前身の海草中時代に夏の甲子園を2度制した古豪は好チームだった。

 とはいえ、近年、21世紀枠で出場したチームが勝てていない。2021年大会で具志川商(沖縄)が21世紀枠同士の対戦を制したのを最後に初戦で12連敗中。一般選考枠に勝ったのは、15年の松山東(愛媛)までさかのぼる。この状況が続けば「21世紀枠不要論」が巻き起こるかもしれない。

 ただ、少数部員や自然災害など困難な環境を克服したり、地域貢献をしたりして選ばれた学校が甲子園でプレーする姿は、地域の活力にもなる。創意工夫した練習で成果を上げているという評価基準もあり、他校の参考になる。なくすのは惜しい。

 甲子園で敗れた後の活動も大切だ。過去に島根県勢は、コロナ禍で中止となった20年大会の平田を含めて4校が選出された。貴重な財産を後輩たちに受け継ぎ、次は一般選考枠での出場や夏の甲子園での勇姿を見たい。(吏)