はさみが“躍った”。米子-ソウル間の国際定期航空路線が週3往復から5往復に増便し、初便を迎えた米子空港であった記念セレモニー。テープカットで鳥取県の平井伸治知事が、小さく跳び上がるようにしてはさみを入れた。
それほど待ち望んでいたということか。「まずはほっとしている」という式後のコメントに、その思いがのぞいた気がした。
運航会社エアソウルの親会社アシアナ航空が大韓航空に統合、子会社化され、韓国では航空業界再編のさなか。念願のデーリー化(週7往復)への通過点とはいえ、増便の階段を一つ上がったのは「大きな意味がある」と強調した。
並んではさみを入れた金仲鎬(キムジュンホ)エアソウル代表理事の「デーリー化したい気持ちでいっぱいだ」の言葉もリップサービスではないだろう。流暢(りゅうちょう)な日本語でこう続けたからだ。「3便、5便、デーリー、それぞれ1便当たりの原価が違う。個人的な気持ちはあるが、費用のことも検討しないといけない」。
逆の見方をすれば、利用客誘致のプロモーションやアウトバウンド(日本人客)の促進策は、今後の数字次第で報われる。そんな手応えも知事のはさみを躍らせたか。増便は目的ではなく、地域に活力をもたらす手段。そんな本来の意義を考えながらも、「近くて近い国」がもっと近くなる実感に旅行マインドを刺激され、自宅で眠るパスポートを探してみようか、とふと思った。(吉)