短歌 寺井 淳選
宛先は都内タワマン三十階遠方といふは縦にもありて 松 江 清井 悦郎
【評】分譲価格の高騰(しかも完売)で、なにかと話題になる〈タワマン〉。一首の「遠方」は捉え方が、なるほどと思わせます。自分には遠いハナシ、という気分もあるでしょう。
長風呂の夫の気になり不審者のごと窓にのぞげば居眠りしてる 出 雲 児玉 幸子
【評】一首の眼目は三句目の「不審者のごと」。都会では笑い話ではすまされない事件が続きますが、ここでは夫を気づかう気持ちが、微(ほほ)笑ましく伝わってきます。
「ひも...