「皆生・大山SEA TO SUMMIT」の開会式であいさつする辰野勇さん=5月31日、鳥取県大山町大山
「皆生・大山SEA TO SUMMIT」の開会式であいさつする辰野勇さん=5月31日、鳥取県大山町大山

 カヤック、自転車、登山で、海から山の頂を目指す環境スポーツイベント「SEA TO SUMMIT(シー・トゥー・サミット)」。登山家で今年78歳を迎える辰野勇モンベルグループ代表が、若き日にトレーニングでよく訪れた大山の北壁から弓ケ浜半島を見下ろし、発案した。大山は「発祥の地」として知られる▼先日、14回目の皆生・大山大会があり、辰野さんも駆け付け、開会式冒頭であいさつ。50周年を迎えたアウトドア用品メーカーの創業者として会場から祝福を受け、大阪市内の雑居ビルの一室で始まった歴史に触れた▼驚いたのは、世界的ブランドに育てたモンベルの売上高を明かしたことだ。それも、こんな例えで。「マッターホルン北壁の高さ」▼21歳で登頂したスイスのアイガー北壁と並ぶ「世界三大北壁」の一つ、マッターホルン。1万円札100枚で厚さ1センチとすると、1億円で1メートル。大山とも比べ、見上げるしぐさで「あれがモンベルの売り上げかあ~」と言って笑わせた▼人生山あり谷あり、という。ちょっとした山歩きでも思わず膝に手をついたとき、ふと人生の例え話を思い出す。仕事も、趣味も、山こそ人生のような辰野さんの中で、大山の存在があるのは何だかうれしい。きょうは大山夏山開き祭の前夜祭、あすは山頂祭がある。本格的な夏山シーズン到来。大自然を胸いっぱいに吸い込み、事故なく楽しみたい。(吉)