第五章・政重(まさしげ)帰参(31)

 

「大殿、早まったことを申されますな」

 遺言など縁起でもないと、村井長次(ながつぐ)は涙目になって訴えた。

「前田家を生かすためじゃ。言われた通りにせよ」

 利長は長次が...