アルプススタンドには自身の息子のほかに下宿している4人の面倒を見る「松江の母」の姿があった。仙田亜紀子さん(50)=松江市浜乃木1丁目。「おかえり。お疲れさまと言いたい」と選手をねぎらった。
夫の朋之さん(42)のつながりで、大田市出身の森優晴選手の下宿先となったのが始まり。今は、自宅と近くの一軒家に4人が生活。一人息子の琥太郎選手を合わせて5人の世話に奔走している。
体づくりのためにとにかく食べさせた。洗濯は1日3回。仕事をフルタイムからパートに変え、子どもたちのために時間をつくった。
念願の甲子園出場を「大変だけど喜びは5倍。少しでも役に立ったと感じてうれしかった」と振り返る。
仙台育英戦の九回、4人のうちの1人の前田翔太選手が代打で登場した。「うれしいという気持ちしかない」と、メガホンでこの上ない声援を送った。「一生懸命頑張った」と最後まで奮闘をたたえた。
(小引久実)