「東京デフリンピック」の大会期間を知らせる東京スカイツリー=7日午後、東京都墨田区
「東京デフリンピック」の大会期間を知らせる東京スカイツリー=7日午後、東京都墨田区

 聴の字を分解すると、<耳+目心>になる。耳だけでなく、目と心で聞くことだと先日参加した講演会で教わった。合わせて「聴す」と書いて「ゆるす」と読むことも。「お互いを受け入れる」の意味があるという。

理解し、尊重し合える機会になればと思う。国内で初めて開催される聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック東京大会」が11月15日の開幕まで3カ月を切った。大会PRのキャラバンカーが島根県内を巡り、関連イベントに登場した選手たちから意気込みが伝わってきた。

 音のない世界で戦うとは、どんなものか想像してみる。スタートのピストル音や審判の笛は聞こえない。選手同士での指示は難しく、連係がうまくいかない。いかに音に頼っているかに気付かされる。日常生活だってそうだ。

 デフスポーツを知ったのは恥ずかしながら昨年のこと。ろう学校に勤める難聴の教員の社会研修を職場で受け入れた。青年は陸上の選手だった。「生徒や子どもたちに挑戦する姿を見せたいんです」と熱っぽく語っていたのを思い出す。

 その彼が目標としていた東京デフリンピックの舞台に立つ。「一人でも多くの人にデフスポーツってすごいと思ってもらいたい。そのために金メダルを取ります」と誓ってくれた。大会に向け、手話を基にしたサインエールという応援が新しく考案されたそうだ。目と心で聞く声援を精いっぱい届けよう。(史)