「これは、先生の日記かもしれない」。2015年2月、堺市の山崎豊子(1924~2013年)の家から東京に戻る新幹線で、新潮社の矢代新一郎(61)はそう直感して姿勢を正した。

 矢代は山崎の遺作「約束の海」の担当編集者。山崎の没...