つい半月前まで、うだるような暑さにうんざりしていたが、きょうから11月。<秋の日はつるべ落とし>のことわざ通りに日没も早まり、朝晩の冷え込みがこたえる時季になった。
ところが先週、耳を疑うニュースが飛び込んできた。北極圏に接する世界最北の島国アイスランドで、3匹の蚊を科学者が発見、捕獲したという。見つけたのは首都レイキャビクから北約30キロの場所。これまで空港の国際線旅客機内で確認されたことはあったが、「自然界では初」らしい。
「最後の砦(とりで)が陥落したようだ」-。現地メディアはそう伝えた。決して大げさではない。日本など世界中で生息する蚊は、卵を産み付けた水たまりから発生する。ただアイスランドは寒冷な気候で屋外の水たまりが凍結と溶解を繰り返すため、南極と並んで「蚊が生息しない地域」とされてきた。
なぜ陥落したのか? 科学者は「冬を越して定着するかどうか、春まで観察する必要がある」と慎重な見方を示すが、考えられるのは地球温暖化だ。アイスランド気象庁によると、1980年以降、気温は「10年に0・47度」のペースで上昇しているそうだ。
蚊ならぬ<蟻(あり)の穴から堤も崩れる>ということわざもある。小さな変調も見過ごせば大ごとになりかねない。それでも温暖化は「でっち上げ」と言い放つ、先に来日した、かの国の大統領は「たった3匹だろう」と笑い飛ばすのだろうか。(健)













