「私は来た船には必ず乗る。同じ船は二度とは来ないから、とりあえず乗る。違うなって思ったら降りればいい」。
島根県内で働く女性の異業種交流会。大きな仕事やリーダーを託されると「そんな能力はない」「管理職にはなりたくない」と固辞することが多い女性たちへ向けた“先輩”の言葉だ。彼女は業界最高位の役職を引き受けた。「プレッシャーもあったが船に乗ったら前が開け、100%やって良かった」と続けた。
そもそも女性が消極的な言葉を口にするのはアンコンシャスバイアス(無意識の思い込みや偏見)や仕事と生活のバランスが崩れる不安があり、自分を過小評価する傾向があるからだ。「出しゃばるな」と同調することを求められがちな環境で育ったことで「コンフォートゾーン(安全安心に過ごせる領域)」から出たくないという意識が働くのだという。
一方で男性は、来た船には深く考えずに乗る、乗るものだと思っている。一度乗れば、女性は下船する(役や職を降りる)潔さがあるが、男性はできない人が多いのだと。
なるほど、来た船にはとりあえず乗って、新しい景色を見るのは面白そうだ。でも、その船が長時間労働を強いられ、責任だけをかぶせられる“泥船”だったら…。そんなネガティブな質問にも「コーティング(表面処理)や補強しながら進めばいい。とりあえず乗ろう」。先輩たちはあくまでも前向きだった。(衣)













