きょうはドラえもんの誕生日らしい。1969年の連載開始時は「2012年9月3日」の設定ながら、連載が進むにつれ「未来の世界」が身近になってしまい、途中で「2112年」に変更したという▼なぜ9月3日なのか? そこには作者の藤子不二雄さんの思いやりが込められていた。のび太は小学4年の設定で、連載開始時の小4の平均身長は129・3センチ。そこでのび太を見下ろさないように同じ目線にするため、ドラえもんの身長も129・3センチに設定した▼この数字に合わせ、誕生日は「2112年9月3日」。体重は129・3キロ、スリーサイズも全て129・3センチ。大嫌いなネズミから逃げるスピードも時速129・3キロというこだわりようだ▼こちらは権力やポストにこだわるのは仕方ないとして、もっと国民の目線に合わせられないか。29日投開票の自民党総裁選の話。次期衆院選に向けた「選挙の顔」となるだけに、各議員の思惑がうごめいている。その一方で、新型コロナウイルスの脅威におびえる国民のことなど眼中にないように映る▼先週の横浜市長選では、事前の予想を覆し、菅義偉首相の側近が大敗を喫した。全国的な感染急拡大を受け、政府への不満が率直に表れた結果だろう。ドラえもんにお願いするなら、ウイルスの特効薬は無理でも、国会議員の目線を国民に合わせる道具を四次元ポケットから出してほしい。(健)