感染防止対策を徹底する皆生菊乃家のフロント。客足は戻っていない=米子市皆生温泉4丁目
感染防止対策を徹底する皆生菊乃家のフロント。客足は戻っていない=米子市皆生温泉4丁目

 飲食、宿泊業界は菅政権のコロナ対策に翻弄され、今なお苦境に立たされている。山陰両県の業界関係者からは施策展開が場当たり的で、支援が行き渡っていない現状に批判や不満の声が上がった。

 緊急事態宣言の対象エリアで、飲食店は時短営業や酒提供の禁止など厳しい規制が敷かれた。結果的に感染拡大が止まらないばかりか「外食自粛」ムードは地方に波及し、大きな打撃を受けた。

 出雲市内で飲食店を経営する青木達也さん(30)は、昨年4月に店舗を一時休業した。「Go To キャンペーン」などの施策は一定の恩恵があったと評価するものの、緊急事態宣言の発令や延長、解除など「判断基準が明確でなく、後手後手の印象。経営が振り回された」と振り返った。

 先月、鳥取県の時短要請に応じた「焼肉 一八」(米子市朝日町)は、要請解除後にも客足が戻らない状況が続き、売り上げは新型コロナ禍以前と比べて3割落ち込む。

 湖山雄太店長(29)は、感染拡大が収まらない状況で強行開催した東京五輪について「地方は放っておかれた。五輪の運営に投じる税金があれば、もっと飲食店を助けられたはずだ」と訴えた。

 感染防止と経済回復の両立を狙い、菅首相が固執した観光支援事業「Go To トラベル」は、最終的に昨年末に停止に追い込まれた。

 売り上げがコロナ前と比べて約3割以上減少している皆生温泉の皆生菊乃家(米子市皆生温泉4丁目)の柴野憲史社長(70)は、感染が拡大していた状況で「トラベルの停止は仕方なかった」と指摘。コロナ禍の非常事態で指揮を執った菅首相をねぎらいつつ「われわれにとっては死活問題。収束の兆しが見えたタイミングで、トラベルをぜひ再開してほしい」と次期政権に要望した。
       (取材班)