菅義偉首相が退陣する意向を表明した。就任から間もなく1年、菅政権は幕を下ろす。その軌跡、そして新型コロナウイルス禍を受け、突然下した退陣の決断をどう受け止めるのか。識者3人が論じた。
学習院大法学部教授
野中尚人
指導力欠如が招いた結末
菅義偉首相は自民党臨時役員会で総裁選に立候補しないと表明した後、記者団に「新型コロナウイルスの感染防止に専念したいと判断した」と述べた。だが、実態はコロナ禍で国民への説明責任を果たさないまま、内閣支持率が低下して再選も危うくなったから、不出馬を決断したのだろう。
こうした政治姿勢は、菅首相がその路線を継...