ロケットリーグの全国大会島根県予選で、ゴールが決まり喜ぶ部員たち=安来市能義町、情報科学高校
ロケットリーグの全国大会島根県予選で、ゴールが決まり喜ぶ部員たち=安来市能義町、情報科学高校

 <前回のあらすじ>サッカーに似た対戦ゲーム「ロケットリーグ」の全国大会出場を目指し、プロゲーマーの指導を受けた情報科学高校(安来市能義町)eスポーツ研究会の部員たち。ついに迎えた予選当日、立正大淞南高校(松江市大庭町)と火花を散らした。
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 甲子園で夏の全国高校野球の決勝が行われた8月29日、eスポーツに青春を燃やす島根県の高校生も勝負の場に立っていた。
 予選といっても、まだまだ黎明(れいめい)期の県内で出場したのは情報科学と立正大淞南2チームの計3チームのみ。オンラインで試合を行いトーナメント方式で2勝すると県代表として中国地区大会出場権が得られる。
 情報科学にとって、その2勝は容易ではない。立正大淞南とは練習試合を含めてたびたび対戦したが、白星の数は立正大が先行している。この壁を越えなくては県内より上の舞台へ進めない。大会は1ゲーム5分間の2ゲーム先取で勝利が決まる。記者が見つめる中、1戦目が始まった。

 ●予想外の展開に
 「よっしゃー」「この点でかいぞ」。第1ゲームは予想外の先制攻撃で幕を開けた。開始1分9秒、ゴール前に切り込んだ2年村本幸勇主将が浮き球をねじ込んでゴール。これまでの対戦は追う展開が多かっただけに、勢いづいた部員たちはリードを死守し、1ー0で1ゲーム先取した。
 第2ゲーム。ぐいぐいと攻め込まれる。開始42秒で早々に失点し、1分6秒、2分25秒にも鮮やかなゴールを許し、0ー3と突き放された。それでも部員は諦めない。シュートのクリアボールをしつこく押し込み1点を返すと、終了7秒前にも意地のゴール。2ー3に追い上げ、次のゲームに期待を持たせた。
 ところが、第3ゲームは集中力の糸が切れたかのように失点が止まらず、ハットトリックを含む0ー5の大敗。村本主将は「守りの分担とか連携が甘かった」と振り返った。

 ●手応え得て、次の戦いへ
 尾を引きそうな負け方に心配したが、試合後の部員を見ると、けろりとした様子で別のゲームの練習に切り替えていた。
 実はまだ次がある。月末には創部以来の「本命」としていた「全国高校eスポーツ選手権」の県予選が迫っている。参加タイトルはもちろんロケットリーグ。言うなれば前哨戦に当たる今回はあと一歩及ばなかったものの、雪辱の機会は残されているのだ。
 公式戦初勝利を目標に掲げた記者にとって、選手権の予選までが一区切りになりそうか。一時中止していた格闘ゲームの指導内容も考え直しながら、次こそはチーム名「ブルーバード(青い鳥)」の通り、飛躍することを願う。
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 eスポーツ編第11回は19日に掲載。ロケットリーグで再び全国大会を目指します。