TBSが、2026年1月スタートの深夜ドラマ枠「ドラマストリーム」(毎週火曜深夜)で『終のひと』を放送することを発表した。主演を務めるのは柿澤勇人で、連続ドラマの主演は本作が初となる。原作は清水俊の漫画『終のひと』(双葉社アクションコミックス)。型破りな葬儀屋が風変わりな依頼に挑む姿を描くヒューマン・エンターテインメントとなる。
【別カット】クールな表情を浮かべる柿澤勇人
柿澤が演じるのは、元刑事で余命わずかの葬儀屋・嗣江宗助。ジャージ姿に銀髪、ヘビースモーカーという見た目からアウトローな雰囲気を漂わせるが、根底には誠実さと深い愛情を併せ持つ人物だ。役作りに向けて葬儀に関する専門書を読み込み、納棺の所作も専門家の指導を受けながら身につけたという。髪も役柄に合わせて染めるなど準備を整え、初主演作に臨む。
柿澤は高校1年のときに劇団四季のミュージカル「ライオンキング」を観劇し、主人公シンバに憧れて俳優を志した。2007年に劇団四季で初舞台を踏み、退団後も舞台やドラマで実績を積み重ねてきた。第31回読売演劇大賞優秀男優賞、第49回菊田一夫演劇賞を受賞するなど、演劇界で高く評価されている。金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』(2024年10月期)では事件の核心に迫る刑事役を熱演し、話題を集めた。来年はミュージカル「ジキル&ハイド」、「ディア・エヴァン・ハンセン」で主演を務める予定で、俳優として存在感を増している。
原作『終のひと』は、粗野に見えるベテラン葬儀屋・嗣江宗助と、仕事中心の生活で自分を見失ったエリート会社員・梵孝太郎が、梵の母の急逝をきっかけに出会うところから物語が始まる。対照的な価値観を持つ2人が、さまざまな死や遺族と向き合う過程を通して、現代社会における家族、孤独、老い、喪失、再生といった普遍的なテーマを描いた作品で、読者から高い支持を得てきた。
本作は「身近な人の死」を扱うヒューマンドラマであると同時に、令和の社会を映し出す一話完結のエンターテインメントでもある。嗣江が挑む依頼には風変わりな案件も多く、ときにダーティーでハードボイルドな展開も含まれるという。
■コメント
<主演・柿澤勇人>
この度『終のひと』にて嗣江宗助役を演じます柿澤勇人です。
この作品のオファーをいただいた時期、僕は11年前に旅立った高校の同級生が眠るお寺で手を合わせていました。
毎年彼女の命日には担任の先生やクラスメイトが集まり、彼女との想い出や昔話に花を咲かせます。しかし、僕も皆も口を揃えて言うのが、未だどこか彼女の死を受け入れられない、信じることができないということ。ご遺族のことを思うと一層胸が締め付けられます。
人はいつか絶対に死ぬというのに、僕は今を生きることに精一杯で、自身の死後について、葬儀やお墓、ましてやエンディングノートについても考えられていません。
しかし、清水俊さんの原作を拝読し、徐々に自分の死生観が変わりつつあります。一つとして同じ葬儀は無いこと、そして葬儀は遺された者たちのためでもあること…。
このドラマを通して皆様の心のどこかに生きることと死ぬことについて少しでも何かを残すことができれば本望です。その一方でしんみり、悲哀に満ちたドラマにするつもりもありません。
素敵なキャスト・スタッフと共に軽妙な芝居を作り、時にクスッと、時にうるっとくる作品を目指したいと思います!
<原作者・清水俊>
この『終のひと』は私の初連載作品であり、思い出深いと共に大事な作品です。それが今回映像化のお話をいただいた事は非常に光栄に思っています。
「死」をテーマにした作品ですが、単純な涙を誘う話にならないように気をつけました。ドラマ版『終のひと』もそこを丁寧に作ってもらえていると思うので、いち視聴者として楽しみにしています。
<プロデューサー・佐井大紀>
余命わずかの破天荒な葬儀屋は、様々な「死」にどう向き合っていくのか?
清水先生の原作に思わず胸が熱くなり、映像化の企画書を出したその数日後、親しかった同級生が突然の事故で亡くなりました。ほんの数カ月前に同窓会で会い、家を買ったことや生まれたばかりの子供の話をしていた彼は、まだ30歳でした。
現実を飲み込めぬまま葬儀に参列した私は、涙をこらえスピーチする喪主のお父様や、ときに笑顔まで見せきびきび運営するお兄様、泣き止まぬ赤ちゃんを背負い参列者一人一人にお辞儀するお母様と奥様の姿を見て、葬儀とは故人のためだけでなく残された人々のためにもあるのだと感じ入りました。
ご遺族の気持ちは、そう簡単に推し量れません。しかし一方で私は、お別れの儀式を支える「葬儀屋」の方々の丁寧で機敏な仕事ぶりの節々に、プロとしての覚悟と哲学を見ました。
このドラマは、破天荒な葬儀屋・嗣江とその弟分・梵のしょうもないやり取りに笑いながら、葬儀に関わる人々とその事情、人情、愛情、倒錯、不条理、リアルに胸が締め付けられる、可笑しくて切ないヒューマン・エンターテインメントです。
主演の柿澤勇人さんはじめスタッフ・キャスト一丸となり、心を込めて取り組んでいます。大切な人を失った悲しみを受け入れ、未来を生きようとする全ての方に、この物語を捧げます。
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