北海道苫前村三毛別(現苫前町三渓)の開拓地で起きた「三毛別ヒグマ事件」から今月で110年となる。胎児を含め7人が犠牲になり、3人が重傷(後に1人が後遺症で死亡)を負った国内最悪の「熊害」。町の郷土資料館に保存される生存者の手紙は、襲撃の悲惨さを克明に伝える。
〈五十年経過の今日も尚消さんとして消す事の出来ない記憶は生々しきものです〉
手紙は、事件当時少年だった故明景力蔵さんが、事件を調査して書籍「慟哭の谷」にまとめた故木村盛武さんに宛てたもの。細かい字でびっしりとつづった。
最初の現場は「太田家」。1915年12月...













