政府が新型コロナウイルスのワクチン接種が進展する11月ごろをめどに、緊急事態宣言の発令されている地域などでも行動制限を緩和する案をまとめたことが8日、分かった。ワクチン接種や検査の陰性証明を条件に県をまたぐ旅行や大規模イベントを認めるほか、飲食店での酒類提供も容認する。政府は9日に対策本部会合を開き、宮城、岡山両県を除く19都道府県の宣言を30日まで延長することを決める。行動制限の緩和もこれに合わせて決定する見通しだ。

 コロナと共存しながら経済活動を本格再開させる方向に大きくかじを切る形となるが、専門家らの間には感染収束が見通せない中での制限緩和に慎重な意見もある。

 9日の対策本部会合では、21都道府県に発令中の宣言のうち、首都圏や近畿、中部など19都道府県を延長し、宮城、岡山は宣言に準じる「まん延防止等重点措置」に移行する。現在12県に適用中の重点措置は、富山、山梨、愛媛、高知、佐賀、長崎の6県を解除する方向で調整している。

 また、政府の新型コロナ感染症対策分科会は8日、緊急事態宣言解除の新たな基準をまとめた。病床使用率が50%を下回り、重症や中等症の患者数が減少傾向にあることなどを条件とした。コロナ以外の患者の治療も含めて、医療現場の負荷がどれだけ軽減しているかを重視する。

 政府は現在、宣言地域などで県をまたぐ旅行や出張の自粛を要請しているが、ワクチンを2回接種した人や、陰性証明を所持する人は対象外とする。同様の条件で、5千人を上限とする大規模イベントの人数制限も緩和する。